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年寄りカラスの知恵
波照間に年をとったカラスがいた。 飛ぶのが遅いから、若いカラスにこばかにされていた。 ある日のこと、若いカラスが遠くから飛んできて「黒島に、おいしそうな牛のごちそうがあるそうだ」と仲間に教えた。 すると、年とったカラスが頼んだ。 「わしは飛ぶのがおそいからね、すまんがこの年寄りのために1番美味しい角を残しておいてくれよ」 若いカラス達は良いことを聞いたと牛のところへ着くと、角をつつき始た。 その間に年とったカラスが飛んできて「牛の美味しいところは、実ま目玉だったんだよ」と言うと目玉を美味しそうに平らげた。
【参考文献・出典】 沖縄むかしばなし 比嘉朝進 球陽出版
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かまきりの仲人
むかし、かまきりとくもとななふしが、仲良く暮らしていました。 ある日、かまきりがくもとななふしの仲人になって、結婚させました。 けれど仲が悪くどちらとも別れたいとかまきりに相談をしてきました。 かまきりは「ななふしの言う事ももっとも。 くもの言う事ももっとも」 とかまきりはふたりの顔をながめては、「もっとも、もっとも」 と大きなかまを上げたり下げたりしながらなだめました。 だからかまきりはいまでも「もっとも、もっとも」とかまをふり上げたり ふり下げたりしているのですよ。
【参考文献・出典】 沖縄むかしむかし 沖縄県子どもの本研究会 (有)フォレスト
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親孝行のスズメ
ある所に姉妹が住んでいて、二人は出稼ぎに行っていた。 姉は1人になった父親の事が心配で、何度も便りを出していた。 ところが妹は父の事を忘れてしまい、ハイカラ好みでキレイに着飾る事しか考えていなかった。 父親はとうとう重い病気になり、危篤という知らせが届いた。 姉は着のみ着のまま大急ぎでかけつけたので父の死に目に会うことがきた。 妹のほうは、着物を選んだり着付けしたりで会えなかった。 父は死ぬ間際に、親孝行の姉に「お前は金持ちの軒下に住んで、雨にも台風にも安心して暮らしなさい。 そして米蔵の周りには米粒がいつも落ちているから、それを食べて一生幸せに暮らしなさい」と言い残した。 それで姉はスズメになり、見かけは良くないけれども、妹とは違い幸せに暮らしたとさ。
【参考文献・出典】 沖縄むかしばなし 比嘉朝進 球陽出版
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こうもりのふた心
昔むかし、動物たちはみんな仲良く暮らしていました。 ある時、空を飛ぶ鳥と四つ足のけだものがふたてに別れて戦になりました。 こうもりは、「自分は顔はねずみに似ているし、羽があって空を飛ぶこともできるので、どちらの仲間にもなれるぞ。 よし、強い方に入ろう」と考えました。 だちらの見方にもなったこうもりは、最後はとうとうひとりぼっちになってしまいました。 それでこうもりは、昼間はどこにも出れずに洞窟の中で過ごし夜になると、飛びまわるようになったそうです。
【参考文献・出典】 沖縄むかしむかし 沖縄県子どもの本研究会 (有)フォレスト
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雨ガエルになった息子
ある所に親の言うことばにさからい、 全く反対のことばかりする親不孝な息子がいた。 飲み水を汲みに行かせると、反対に塩水を汲んでくる仕末。 母親がとうとう病気になり死期がせまり、 「私の墓は川のほとりに造りなさい」と、 本当は眺めのいい高台を望んだがわざと反対の遺言をした。 一方息子の方は、今回だけでも親孝行をしようと、 母の遺言通り川岸に墓を造った。 しかし雨が降り続いて墓が水浸しになり、心配のあまり カエルになってしまった。 今でも雨が降ると、雨ガエルがガークガークと鳴くのは 母親のために鳴いているそうだ。
【参考文献・出典】 沖縄むかしばなし 比嘉朝進 球陽出版
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